夏、来る

2006年7月3日
 何だかちっちゃあい虫がぷちぷちぷちぷち発生していて、非情なわたしはぷつぷつぷつぷつ潰している。どこから湧いたんだ。

「この子たちの夏」のチケットが届いた。8月、1945年のヒロシマ、ナガサキのあの日をつづった子どもと母親の手記を6人の女優が朗読するこの劇に足を運ぶようになって、10年は経つ。行けない年もあったが、やすみやすみ「この子たち」に会いに行く。
 日記の名前は、この劇で朗読される詩の一説からもらった。二人の息子をヒロシマで奪われた母親の慟哭。

坊さんが来てさ
くろいきものを着てさ
かねをならしはじめると
母さんにみつめられて
あかるいとう明のむこうに
おまえたち
てれているのさ
ぽろ ぽろ
いとすいせんの匂う下で
母さんに叱られたとき
おまえたち
やったように
ちょっと
泣きそうな顔なのさ


 この詩はこう叫ぶ

女夜叉になって
おまえたちを殺したものを
憎んで 憎んで 憎み殺してやりたいが
今は
母さんは空になって
おまえたちのために鳩をとばそう
まめつぶになって消えてゆくまで
とばしつづけよう


 6人の女優たちが、奪われた子の名を呼んで幽鬼のように舞台上をさまよう。

しょうじよう
やすしよう

しょうじよう
やすしよう

しょうじよおう
やすしよおう

しょうじいよおう
やすしよう

しょうじい
しょうじい
しょうじいい


 この母親は、今世界中にいる。

※山田数子『慟哭』より引用

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